「お金の話をするのは、なんだかいやらしい」——日本で育つと、ほとんどの人がこの感覚を持っています。私もそうでした。
でも、携帯ショップの店長を経て、いまリース会社を経営する立場になって断言できます。この遠慮は、美徳ではなくコストです。しかも、払っていることに気づけないタイプのコストです。
店頭で見た「聞いた人だけが得をする」現実
店長時代、同じ機種を買う2人のお客様が、まったく違う金額を払って帰ることが日常的にありました。差がついた理由は、収入でも交渉術でもありません。「これ、もう少し安くなる方法はありますか?」と聞いたかどうかです。
割引・キャンペーン・下取り・プラン変更。店員は、聞かれれば答えます。でも、聞かれないことを全部説明する時間はありません。これは携帯ショップに限らず、保険も、住宅も、税金も同じ構造です。世の中の制度は「知っている人・聞ける人」に有利にできている。お金の話を避けることは、その構造の「損する側」に自分から並ぶことなんです。
「いやらしい」の正体は、教わってこなかった照れ
考えてみると不思議です。健康の話は堂々とするのに、家計の話は隠す。でもお金は、食事や睡眠と同じ「生活の道具」です。道具の使い方の話に、本来いやらしさはありません。
私たちが照れてしまうのは、単に学校でも家庭でも「お金の話し方」を教わってこなかったから。慣れていないだけです。慣れの問題なら、練習で解決できます。
今日からできる「お金の話」の練習3つ
- 家族と月1回、数字を見る日を作る:責める話ではなく「作戦会議」として。「先月の通信費、見直せるかも」から始めると角が立ちません
- お店で「安くなる方法はありますか?」と聞いてみる:携帯・保険・車検。聞くのはタダで、断られても失うものはありません
- 友人と「損した話」を共有する:成功自慢は嫌味になりますが、失敗談は喜ばれて、しかもお互いの防御力が上がります
子どもの前でこそ、お金の話をしてほしい
親がお金の話を隠すと、子どもは「お金=触れてはいけないもの」と学習します。そのまま大人になると、聞けない・話せない・調べない、の三重苦です。夕食の席で「今月は電気代が高かったね、なんでだろう?」——それだけで立派な金銭教育です。
まとめ
お金の話を避けるのは美徳ではなく、「知っている人が得する構造」で損する側に並ぶこと。いやらしさの正体は、教わってこなかった照れにすぎません。まずは家族との月1回の作戦会議から。何をどの順番で学べばいいかは、お金の勉強の順番の記事にまとめています。
